予想をはるかに超える愛犬のおもちゃ
犬を飼い始めてから、私たち家族はたくさんのおもちゃを愛犬のために買ってあげました。ロープトイ、コットンボール、フリスビー、などです。でもそんな彼のために買ってあげたおもちゃはなぜか気に入ってもらえず犬小屋で放置されたままでした。その代わり彼がおもちゃにしたものは私のおもちゃでした。コットンボールを買ってあげたにもかかわらず、彼がいつも遊ぶために持ち出したのは、私のバスケットボール柄の小さいゴムボールでした。また父の服で遊ぶのも好きでした。着た服を洗濯のために入れておく洗濯かごからたくさん服がある中でなぜかいつも父の服を引っ張り出してくるのです。それを「うー」と言いながら振り回して遊んでいるのです。臭い靴下を出してきたときはびっくりしました。犬の嗅覚は人間の何百倍などと聞きますが、それは嘘ではないかと家族全員が思いました。でも洗った後のきれいな服を出してきてよだれまみれにされるよりはましだと思いそれ程叱ることはしませんでした。
次の彼のターゲットは私が大切にしていたぬいぐるみでした。私は幼いころから動物が大好きで、親はよく動物園へ連れて行ってくれていました。その度に動物のぬいぐるみを買ってもらっていました。ライオン、チーター、鶏、トラ、りすなど少しリアルなぬいぐるみで私の自慢のコレクションでした。中学生になってそれでは遊ばなくなっていましたが、大切に飾ってありました。それを私が学校へ行っている間に、愛犬くんは自分のおもちゃにしてしまったのです。私は学校から帰宅して荷物を自分の部屋にもっていったときすぐにお気に入りのぬいぐるみが無くなっていることに気が付きました。きれいに飾られていた他のぬいぐるみもバラバラになっています。犬の仕業と思い犬を探しました。案の定犬が私のぬいぐるみをくわえていたのです。
しかも一番好きなチーターのぬいぐるみでした。なんと犬はそのチーターの目と鼻をどうやったのか引っ張りだし、縫い付けられた糸を食いちぎってしまっていたのです。両目と鼻がなくなっているチーターはかなり不細工になっていました。その時は犬に文句を言って叱りました。しかし次の日、他のライオンも鶏もトラも彼のいたずらの餌食になってしまいました。私は不細工になった大好きなぬいぐるみたちを見て、犬にそのぬいぐるみたちを彼のおもちゃとして差しあげることにしました。でも犬はそのぬいぐるみが欲しかったわけではなかったようです。彼の狙いはなぜかぬいぐるみたちから目と鼻を奪って遊ぶことだけだったのです。一応彼にあげたぬいぐるみたちには目と鼻が全部ありません。それら目や鼻はボタンやプラスチックでできているのですが、食べているわけではなくそこらに捨てられてありました。こうして犬のおもちゃは私たちの予想をはるかに超えるものばかりでした。