我が家で起こった急性フィラリア症

我が家では、飼い主がいない犬を預かって里親を探し、飼い主が見つかったら譲渡するという活動を行っています。
その中で起こった経験を紹介させていただきます。
推定4歳、体重10㎏の雑種のオスを預かった時の話です。
その子は、動物愛護センターで3ヶ月を過ごし、その間にフィラリアの検査を行って陽性の結果が出ていました。動物愛護センターに収容される子はフィラリア陽性であることが多いため、陽性であることはさほど気にせず我が家で受け入れることを決めました。
我が家で受け入れる前の情報では、動物愛護センターで咳は出ていたものの、健康状態に問題なしと聞いていました。

我が家で預かり始めて1日目は、特に咳などの症状はなく、オシッコも普通の色でした。その日はドライフード少しとおやつを食べて就寝。環境が変わったばかりだったので、食欲がないのは仕方ないと思って、あんまり食べなくても気にしないことにしました。
2日目3日目は少しづつ小分けに食べて、必要量の半分~2/3くらいを食べていたと思います。朝はあまり食べないけど、夕方から夜にかけて食べる傾向がありました。
お散歩は好きなようで、リードを付けられるのも抵抗なく、慣れた様子で1日2回散歩に行きました。
そして我が家に来て4日目。朝は元気で、長めの散歩も元気に行きました。この日も朝ごはんは食べなかったけど、いつもみたいに夜に食べればいいか、と思って様子を見ていました。日中はクレートの中で寝たり部屋をうろうろしたりして過ごしました。

様子がおかしいなと思ったのは夕方頃。やけに寝てる時間が長いし、クレートから出てこないなと思いました。その頃から咳が出始めたと思います。20時過ぎ、寝る前にオシッコだけはさせようと思って少し外に連れ出しました。ほどなくしてオシッコをしたけど、明らかに血尿でした。咳と血尿が出た時点で急性フィラリア症の可能性が高いと思ったので、かかりつけの獣医さんに電話して相談したのが20:30くらい。とりあえずプレドニンを1錠内服して様子をみること、人間の食べ物でも多少味がついていてもいいから何か食べさせるように言われました。
プレドニンを口の奥に突っ込んで飲ませ、レバー、チーズ、など食べさせようとしましたが、結局口にしたのは水と牛乳でした。その後、相変わらずクレートでぐったりしていたけど、咳は落ち着いたので様子を見ることにしました。

この時点で21:00くらい。朝になったら獣医さんに連れていきたいけど、急性フィラリア症に対応してくれる獣医さんを知らないし、もしかしたら夜中に急変するかもしれないけど、夜間診療をしている獣医さんもわからないので、
何人かの人に電話して情報を聞き、朝になったら我が家から1時間半ほど離れた獣医さんに受診することになりました。
そろそろ寝ようと思った0時くらい。再度咳をし始めて、今度は血痰と泡を吐き出しました。心拍も呼吸も早くなってるようで、夜間に受診するか判断に迷いましたが、急性フィラリア症は症状が出始めると急激に悪化する可能性もあると聞いていたので、夜間診療を行っている病院に向かいました。

病院に到着して心臓超音波と尿検査を行い、心臓の右心系にフィラリアの成虫が多数存在していること、尿検査では、溶血しているため膀胱炎や尿路結石で血尿が出ているのではなく、赤血球が破壊されて起こる血尿であって、急性フィラリア症で間違いないであろうと説明を受けました。
一刻を争う状態ではないけれど急変の可能性が高いので、家には連れて帰らず朝まで病院で預かってもらって、朝になったらもともと受診予定だった病院に連れていくことになりました。念のため、といって酸素室に入りました。おそらく酸素は使いませんでしたが、状態が悪くなったときの備えだと思います。
その後は急変することなく朝を迎え、夜間診療の獣医さんにお礼を言って病院を後にし、次の病院へ向かいました。
もともと受診予定だった獣医さんに尿検査の結果を渡し、そのほか心臓超音波、レントゲン、血液検査を行いました。

結果は、やはり急性フィラリア症で違いなく、血液検査の結果はけっこうガタガタで、レントゲン上では心臓が変形しており、肺にも白い影が多く写っているのが見え、呼吸が充分にできていないと言われました。
手術をしても肺の成虫は取れないし、術後にどれだけ症状が良くなるかわからないけれども、放っておけば致命的になるのは明らかなので、手術をすることになりました。
すぐに入院になり、手術を受け、フィラリアは50匹ほど取れたそうです。
術後の経過は順調で、3日後には退院し、しばらくは排泄以外は室内で安静に過ごしましたが、すっかり元気になりました。
フィラリア陽性の子を預かる時点で、このようなことはいつでも起こりえると思っていたつもりでしたが、いざ直面すると大変混乱しました。処置が間に合って本当に良かったです。
今では新しい家族に囲まれて暮らしてフィラリアも克服し、幸せに暮らしています。

pMFPeE
愛犬の病気